初心者のころ、はじめて1曲通して弾けるようになったときの話
私がギターを弾き始めたのは、おそらく2009年の春頃。高校に進学する少し前の時期だったと思います。弾き始めた当時、YouTubeではギターの演奏動画はあっても解説や楽譜の表示などは、ほぼありませんでした。現在はYouTubeを開けばギターのお手本演奏+楽譜がセットで表示されているのが当たり前の時代です。本当に素晴らしいですね。
今回は、レッスン中に時おり聞かれる「私が1曲弾けるようになったときの話」を少々、記しておこうと思います。
選曲の決め手は「1曲の中でコード弾きとソロがあること」
当時は弾きたい曲の楽譜を入手するのがとにかく大変でした。高校時分の小遣いではそもそも楽譜がまともに買えなかったので、中古屋の万代書店(懐かしい…)へ当時のバンド仲間と乗り込み、割り勘で一冊のバンドスコアを買いました。


買ったのはGLAYのアルバム「DRIVE」のバンドスコア。このアルバムはGLAYの2枚目のベストアルバムで、全盛期を彩った楽曲がほぼ網羅されていました。バンド仲間と割り勘だったので、GLAYのコピーをやろうとしていたのかな…。ギターがもう一人いたのですが、彼はラルク派だったので、当初はGLAYとラルクのコピバンをしようとしていたのかもしれません。
「誘惑」「SOUL LOVE」「Winter,again」「口唇」などなど、メガヒット曲がひしめく中で当時の私が楽譜を見ながら選曲したのは「BELOVED」。この楽曲はアコギのアルペジオフレーズからはじまり、イントロ・間奏でのギターソロ、曲中でのコードストロークにカッティング、サビを支える裏メロフレーズなどが盛り込まれており、ギターのテクニックをまんべんなく学べると思ったがゆえの選曲でした。
ちなみに、楽譜をめくりながら「この曲ならこのテクが練習できるな」と考えて選曲できたのは、楽曲のコピーに入る事前段階として教則本を少しかじっていたからだと思います。教則本のころはどんな風に弾いていたかは、また別の記事で。
「BELOVED」から学んだテクニック一覧
BELOVED/GLAYで弾いていたフレーズ構成はだいたい☟のとおりです。
イントロ:アコギのアルペジオ+エレキのリードソロ
Aメロ:前半はアコギでF C Dmのコードストローク+後半はエレキのアルペジオ
Bメロ:エレキのカッティングフレーズとオクターブ奏法
サビ:エレキで単音の裏メロフレーズ
間奏:16分音符を含むリードギターソロ
以降のBメロ、大サビ、アウトロではほぼ新規フレーズが出ないまま終了。
ちなみに、「BELOVED」のギターは「アコギ+リズムギター+リードギター」という編成でした。3種類のギターの音色が、曲中に同時に流れているわけです。この3種類の楽譜をごちゃまぜにして、曲中で一番耳に聞こえやすいフレーズをつなげて練習していました。
弾いているのはエレキギターだけれども、アコギのアルペジオやAメロのコードストロークが目立つときはそっちを弾く。間奏などでリードギターが暴れる時はガッツリソロを弾く、などしてとにかく1曲通して休むことなく弾いていましたね。
当時の練習方法

たとえば「今日はAメロを練習するぞ!」と思ったら、まずは楽譜を開いてCDで曲を再生する。Aメロ部分を聴きながら、該当する箇所の譜面を指でなぞって追いかける。こうすることで、徐々にではありますが譜面を見るだけでなんとなく頭の中で音が鳴るようになります。
あとは実際に楽譜とにらめっこしながらフレーズを練習するのですが、いきなり原曲と同じ速さでは弾けません。当時はメトロノームを持っていなかったので自分の感覚ではありますが、まずは元の速度の半分くらいの速さで指の動かし方を覚えました。
当然いきなり完璧に覚えることもなく、間違えたフレーズやリズムで覚え込んだことも多々ありました。ある程度速く弾けるようになってから再度楽曲を再生したときにはじめて、間違って覚えていたことに気付いてよく途方に暮れました。軽くスネて気分転換にテトリスをやって、またイチから覚えなおす…みたいな感じだったと思います。これがバッキングフレーズのおはなし。
ギターソロに関してはもっと大変でした。数十秒のギターソロを、リズムは無視してとりあえず一つずつ音をゆっくり鳴らしてみる。楽譜とひたすらにらめっこ。ギターソロの最初の一音から最後の音まで鳴らすのに、2時間くらいかかったような気がします。当時は指の運び方やパターンも知らなかったので、とにかくぶつかり稽古。
ずっと楽譜とにらめっこして2時間、ギターソロの音をゆっくりなぞるだけで疲れてしまい、その日は練習をやめる…そんなかんじだったと思います。ただ、この練習は疲れるだけでフレーズなんて全然覚えられませんでしたけれども。後々、1小節ずつ覚えるようにしていきました。
「BELOVED」を1曲通して弾けるまでの所要期間
こんなかんじで独学で練習し続けて、なんとか1曲通して弾ききることができるようになったのは練習開始から半年くらい経ったころだったかと思います。
ふりかえると「もっと早く上達できるやりかたなんていくらでもあっただろ!」と自分にツッコミを入れたくなるのですが、まぁそれも経験ですからね。独学で散々遠回りしてきたので、今なら近道が分かるという。この辺の経験は、ギター教室でのレッスンに活きていると思います。おそらく、初心者の頃に悩む壁には一通り半殺しにされてきました。
初心者は1曲通して覚えるべきか、いろんな楽曲のフレーズをたくさんつまみ食いするべきか
昔の私はわりとカッチリした性格だったので、1曲通して覚えるべきだ!なんて考えていました。ただ、「BELOVED」の練習に嫌気が差したときは、こっそり他の曲のページを開いて気分転換に練習していました。笑
でも、意外とこの手法がバランス良い気がします。「メインで1曲通してじっくり覚えたい曲」をひとつ練習の軸にしておいて、「他の曲のフレーズを気分転換や息抜きに、気の向くままにつまみ食い」する。
いくらでも寄り道はして良いんです。ただ、メインの曲が一つあると、自分のギター弾きとしての方向性が見えてくる気がするので、個人的にはこの手法がオススメですね。
「BELOVED」のその後
「BELOVED」の練習中、息抜きに「口唇」、「Winter,again」、「誘惑」などをちょくちょく練習していました。「BELOVED」は1曲通して弾けるようになるまでに半年かかりましたが、その後通して覚えた「口唇」は3か月くらいで弾けるようになったと思います。
練習はすればするほど、弾けるようになるためのノウハウがどんどん蓄積されていくので、1曲覚えるまでに必要な時間は短くなっていきます。ただ、雰囲気の違うものに挑戦するときはそのノウハウが通用しなかったりするので、「Winter,again」には更に半年ほど時間をかけたような気もします。
高校入学とほぼ同時期に、こんなかんじでGLAYの曲を独学で練習していました。以降、高校3年の文化祭でバンドをやる!と決めて、バンド仲間と音を合わせたりもしました。その頃のお話はまた、別の機会に。

初代・エレキの相棒☝