音楽の授業が教えないこと〜ドレミの呪縛は業が深い
思うに、音楽の授業は「ドレミ」を大切にしすぎている。そのせい…と断定はできないけれども、音楽はすべてドレミでできていると思い込んでいる人が多いと思います。かくいう私もそのうちの一人でした。
けれども実際のところ、すべてがドレミでできているならばピアノに黒鍵はいらないはずです。でも黒鍵はある。ということは、世の中の音楽は、ドレミファソラシド以外で作られているものだって実は大量に存在しているということです。手元に楽器を持ち合わせていない人にこれを説明するのはなかなか困難なのだけれど、それでもどうにか、この事実を届けてみましょう。
ドレミに聞こえる音の並びは確かにある
こちらがいわゆる「ドレミファソラシド」です。
ドから始まってドで終わっている、ちょうど1オクターブの配列です。大変聞き馴染みのあるメロディですよね。
じゃあ、次のメロディはどうでしょう。何に聞こえるでしょうか。
できれば先ほどの動画から30秒ほど空けてから見てみてください。
Q.これ、ドレミファソラシドですよね?
A.いいえ、違います。
そもそもドから始まってなんかいません。 じゃあ何なのか。
「ド#」から始まっています。
動画で弾いている実際の音は、「ド#・レ#・ファ・ファ#・ソ#・ラ#・ド・ド#」です。ミなんて擦りもしません。
注:厳密な音楽理論の世界では「7音階(スケール)は、ドレミファソラシを1回ずつ順番に全部使わなければならない」という面倒くさいルールがあります。 そのため、理論書などでこの音階を表記する場合、ファとドを使わずに以下のように書かれます。
- 理論上の正解:ド#・レ#・ミ#・ファ#・ソ#・ラ#・シ#・ド#
もう一つ行ってみましょう。
これも「ドレミファソラシド」に聞こえますよね?だがしかし、違う、そうじゃない。
「レ」から始まっています。
実際の音は、「レ・ミ・ファ#・ソ・ラ・シ・ド#・レ」です。
でも「ドレミファソラシド」にしか聞こえないはずです。
さて、これは一体どういうことなのか。
人間の耳なんて案外いい加減なものなんです
実は、普段私たちが認識している「ドレミファソラシド」は、「ドレミファソラシド」に聞こえる音の並びであるというだけなのです。
「ドレミファソラシドに聞こえる音の並び(間隔)」という法則があるだけであって、それは「レ」から始めようと「ソ」から始めようと、その法則通りに鳴らせば、絶対音感のある人以外にはすべてドレミファソラシドの音の並びとしか認識できないでしょう。
専門的な単語で言えば、どの音から鳴らし始めたとしても「全・全・半・全・全・全・半」という音程の間隔で音を鳴らせば「ドレミファソラシド」に聞こえるようになっているし、そう聞こえる法則の音の並びのことを「メジャースケール」と表現するのが一般的です。
でも、市販の音楽理論書とかを開いたらいきなり「全全半全全全半」とかいう謎の呪文を喰らわせてくるし、スケールやらキー(調)やら言われても…ねぇ。「ドレミの呪縛」を解かないまま読んでも、そりゃ分かるわけがありません。
このことを、小中学校の音楽の授業とかで最初に分かりやすく伝えられていたなら、キー(調)の概念などももっと身近に捉えられるはずなのになぁ、と常々思います。
難しく深い話につながってしまうので、今日はこの辺で。
