先生のひとりごと

黒歴史も失敗も、すべてがギター講師につながっていた

tak_gt.7

うまくいかないこと、恥ずかしい失敗、忘れたい過去。
私の人生にはそんな黒歴史がいくつもあります。
けれど、その経験すべてが今の私をつくり、ギター講師という仕事にたどり着かせてくれました。

ギター弾きとしての黒歴史

正直に言うと、私は決して上手なギタリストではありません。

大学時代、軽音楽部に所属していたときのことです。
同級生の中には、アドリブでギターソロを自在に弾きこなす友人がいました。私はその姿に憧れ、自分も挑戦してみましたが……結果は散々でした。

思いつくままに音を並べても、全然カッコよくならないのです。
それでも弾けるようになりたい一心で、バンド練習の間奏に無理やりデタラメなソロを差し込んでは、ただただ周囲を困惑させてしまうばかりでした。

正社員をクビになった、社会人最初の挫折

社会人として最初に就職したのは、某不動産会社の営業職でした。
学生生活から一転、スーツに身を包み、名刺を持ってお客様の前に立つ。その姿に、少しだけ大人になった気がしていました。

けれど、現実は想像以上に厳しいものでした。
右も左も分からず、電話一つとっても緊張で声が震える。数字のノルマに追われても、成果は出せない。心のどこかで「自分は場違いなのではないか」と感じながらも、なんとか踏ん張ろうとしていました。

しかし、体は正直でした。
試用期間のわずか3か月の間に、私はパニック障害を起こしてしまいました。呼吸が浅くなり、心臓が早鐘のように鳴り、頭の中が真っ白になる。そんな発作が何度も繰り返され、結局、会社からクビを告げられました。

第一子が生まれる、わずか1週間前のことです。
「父親になるのに、仕事すら続けられなかったのか」——その現実を突きつけられた瞬間、情けなさと絶望で胸がいっぱいになりました。

今振り返っても、あの時の孤独感や、自分の存在を否定されたような感覚は忘れることができません。
私にとって、それは間違いなく黒歴史の一つです。

飲食業界での苦い経験と、劣等感だらけの日々

不動産会社をクビになり、心身が疲弊していた私は、大学時代にバイトでお世話になった寿司屋に正社員として戻りました。

バイト時代は寿司を握るだけでしたが、正社員になると業務は多岐にわたります。

仕込み、魚の下処理、開店・閉店作業、在庫管理、パートやアルバイトのマネジメント、クレーム対応、店長代理……。

他店舗への出張もあり、劣等感を抱える毎日でした。
自分より明るく、寿司を握るスピードが速い人。魚をさばくのが迅速で的確な人。カリスマ性のある人。どれも自分にはなく、眩しく見えました。

さらに業界特有のブラックな労働環境。気が滅入ることはあっても、活力が湧くことはありませんでした。

ただ——自分が握ったお寿司を「美味しい」と言ってくれるお客さん。
その瞬間だけは、働いていて良かったと思えました。

寿司屋時代の話はこちらもどうぞ。
寿司を握る手からギターを教える手へ。仕事の本質は変わらないらしい
寿司を握る手からギターを教える手へ。仕事の本質は変わらないらしい

黒歴史を掛け合わせて気づいたこと

私は相当不器用な人間です。人生でなにかの「一番」になれたことはありません。

圧倒的な才能を見せつけられたギター。
試用期間でクビを切られた社会不適合者としての自分。
不器用でカッコのつかない寿司職人。

でも今は思います。この黒歴史こそ、自分の武器です。

クビになった経験なんて、そう簡単にできることではありません。あの情けなさや孤独は、忘れたくても忘れられない。だからこそ、不器用な人の気持ちが痛いほど分かるのです。

飲食業では職人としてダメダメでしたが、「自分の仕事で誰かが喜んでくれる」その嬉しさを知ることができました。

ギターに関しても、もちろんまだまだ上には上がいます。
でも、この黒歴史すべてを掛け合わせると、見えてくることがあるのです。


ギター講師としての今と、私が伝えたいこと

それは、ギター講師として、
「できない気持ちが分かる先生」になれることです。

黒歴史が多いからこそ、生徒さんの「できない」「続かない」に寄り添えます。

私は一番上手なギタリストではありません。
でも、不器用だからこそ、一緒に音を鳴らす喜びを共有できるのです。

私のレッスンは「上達を競う場所」ではなく、
「自分のペースで楽しみながら音を重ねていける場所」です。

最初の一音が鳴ったときの感動、
好きな曲のフレーズを弾けたときの喜び。
その小さな積み重ねを、もっとたくさんの人と分かち合っていきたいです。

——もしかしたら、あなたにも「黒歴史」と呼べる過去があるかもしれません。
でもその経験は、きっとどこかで誰かを支える力になります。
私にとってのギターが、そうであるように。

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


ABOUT ME
真鍋 貴行
真鍋 貴行
7丁目ギター教室 新居浜校 講師 | studio-em 代表
音の楽しさを届ける/文章でつなぐ/映像で伝える。 ギター講師・ブログ制作・PR動画制作を通じて、表現する楽しさを届けています。 ▶ 講師挨拶はアイコンタップ
記事URLをコピーしました