ものかきのすゝめ
「人生、何がためになるのかわからないな」と、最近考えるようになりました。
ポツポツと更新しているこのブログを読んでくれている人も、ありがたいことに徐々に増えてきました。
いつも読んでくれている方、本当にありがとうございます。
一冊の、ある人気ブロガーの本
「真鍋さんは文章力があるんですね!」と言ってくれることが、この1週間ほどで何度か立て続けにありました。
なんだか変な感じです。僕は文章力、あるのでしょうか。自分ではよくわかりません。
ただ、文を書くことについては、一つ思うところがあります。
おそらく中学生の頃のお話です。
2006年から2009年の春まで私は中学生だったわけですが、当時は今よりもブログ文化が栄えていました。
いわゆる SNSというものはまだ黎明期。
当時は、人気ブロガーが出版社からの依頼を受けて実際に本を出版するなど、結構な市場になっていました。
私も、何気なく立ち寄った本屋さんでブロガーの方が出版した本を偶然立ち読みし、そのあまりの面白さに負け、買って帰ったことがあります。
この本を中学校に持って行くと、教室の中でプチブームが起こりました。
授業中にその本を回し読みしたりしていましたね。
内容は、今で言うところの「バズった投稿」をまとめた本、みたいなものでしょうか。そんな本が実在するのかは知りませんが。
男子の周りでは僕が持ってきたブログの本、女子の周りではケータイ小説。
国語の授業では触れることのない、型にはまらない文体のものがクラス全体で流行っていたように思います。
本屋で立ち読みしてから教室に持ち込んで流行らせるほどの私でしたから、今思えばそのブロガーの文体には、影響を強く受けていました。
ですが、こうなってくると1つの弊害が生まれました。
「良い」ってなんだろう
国語の授業で作文を書かなければいけない時、「真面目な文章を書きたくない」と思うようになりました。
先生の言う「良い文章」の狭苦しさに、嫌気がさしていたのだろうと思います。
そんなわけなので、非常に肩の力を抜いた文体で国語の授業やテストでの作文を書いた私は、国語の先生からよく怒られていました。
「真鍋くんの書く文章はふざけている」と、タレコミがあったのでしょう。
国語の先生からのみならず、なぜかうちの母親にまで「文章を書くときはふざけないで、真面目に書きなさい」と怒られたのを覚えています。
ふざけていたのではなく、自分なりに面白いと思う表現で書いていただけなのですが…。
私の文章は、そこで真面目なものに矯正されました。
もちろん、それからは作文をいくら書いても怒られることはありませんでした。
それまでは、私の書いた文章でクラスメイトが笑ってくれたことも何度かあったし、そういった文章を突然思いつくときは、頭の中に稲妻が走るような衝撃がありました。
けれども矯正されてからは、そんなこともなくなりました。
それって大人の都合なんじゃないの
自分なりに思ったものを書く、作る、表現する。
自分の個性を大切にするという点では、すごく意味のあることです。
一方で、出る杭は打たれるといえば、きっとそれまでのこと。
先生や親の言う「良い」振る舞いって、社会でどれほど役に立つんでしょう。
学校では問題視されていた人や、ずる賢い人の方が器用に社会を渡り歩く。
一方で、教育の檻の中で押し付けられた「良い」行いに縛られて生きてきたいい子ちゃんは、正解を求めてがんじがらめになっている。
…何なんでしょうね。
教えを受けている間は「右にならえ」と個性をすりつぶして正解を押し付けてくるくせに、社会に出てからは「自分で考えなさい」と求められる現実。
「良い文章」「素行が良い」なんてものは、管理する大人にとって都合が「良い」だけなのではないかしら。
管理対象の個性が強いほど、個別に対応する手間が増えることになりますから。
まぁ…私がひねくれているだけかもしれません。
芸は身を助く
私は作文関係で賞をもらったことはありません。
断然文系ではありますが、それも特別秀でていたというわけでもありません。
学校からは不要だと判断された程度の文章力なので、そんなものが「ある」と言われると、とても不思議な気持ちになります。
もちろん嬉しいのは大前提ですよ?もっと言ってください。
学校ではみ出ていた自分の色が、大人になってから周りの人に評価される。
何がためになるか本当にわからないなと思います。
ギターだってそうです。
今では本業としてギター講師をやっていますが、周りからは常々「そんなものを続けてどうするんだ」「大人になったらどうするんだ」と言われていました。
でも、それが仕事になっていますからね。
本当に、何がためになるかわからない。
古くから、「芸は身を助く」と言います。
その芸が幼少の頃から周りに理解され、期待される世の中であれば。
もっとたくさんの人たちが、もっと自信を持って輝ける世界になれたのではないか…。
そんなことを、最近ふと考えてしまいました。
私も、中学生の時に文の書き方を矯正されなければ、今頃は…と。
「あなたの文章は面白いから、武器にしなさい」と誰かが言ってくれたら、褒めてくれていたら、あるいは。
先日、母親から連絡がありました。
「ブログ、面白いです。楽しみに読んでいます」ですって。
今更遅ぇよ!!!笑

